「怪物」を観た

2024/01/21Bruxelles.Comments: 0

風が強いせいで体感温度がめっちゃ低く感じるブリュッセル。
先日降った雪はまだ全然溶けておりませんね。我が家の前にある公園の地面は雪で真っ白に踏み固められててテニスコートも真っ白。こりゃ地面が見えるのにまだ時間がかかりそうざんす。

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去年のカンヌ映画祭では日本の映画が素晴らしかったざんすね〜。「Perfect Days」で役所広司さんが男優賞、そして是枝監督の「怪物」が脚本賞を受賞いたしました。

「Perfect Days」は去年既に観たんですが、遅れること約1ヶ月、先週水曜日にやっと「怪物」が封切りに。これは子どもたちが主人公で、学校やセクシュアリティの問題がテーマなんで是非Seanと観たいと思っておりました。ただ、スマホでYouTubeばっかり観てて、すっかり出不精になってるSeanなんで最初は「え〜ヤダ」と言ってたんだけど、予告編と大体どんな感じなのかを説明したら（あとUGCのサイトで5つ星だったのが決め手）俄然行く気になったんで、本日観てまいりました

怪物だーれだ。

本当に誰だったんだろうか・・・。
さすがカンヌで脚本賞を受賞しただけあって初っ端からグイグイ引っ張られましたね。最初の安藤サクラ演じるシングルマザーのパートで見せられた伏線がその後の永山瑛太演じる先生のパート、そして田中裕子演じる校長先生と最後の子どもたちのパートで回収されていくんですが、同じ場面をそれぞれの視点で繰り返されてもちっとも飽きさせないのが素晴らしい。
それにしても役者さんたちの演技がとにかく見事なアンサンブルで、特に印象に残ったのは久しぶりに見た田中裕子ののっぺりした無表情の演技ですかね・・・。もともとのっぺりした雰囲気の女優さんなんで（失礼）年齢を重ねてのっぺり度に更に磨きがかかったというか。ジュリーの前ではまさかこんなに無表情じゃないとは思うけど（笑）あののっぺり感が怖さを上乗せしてサスペンス度マシマシになっておりました。ワタクシ的にはスーパーで走り回る子どもたちをなにげに足引っ掛けて転ばすも、シングルマザーに見つかってもしれっとしているあのふてぶてしさが完璧だなと。
Seanは映画を観終わって「演技がすごかったね〜」と。どの演技かなと思ったら特に子どもたちの演技に感心していた様子。
確かにあの子役の二人は本当に自然で、さすが子供の扱いには定評のある是枝監督ざんす。
カンヌではクィアパルムも受賞しているので分かる通り、これはLGBTQフィルムにカテゴライズされるんですが、それは映画の中盤以降にならないと分かってこないんですね。結局最後は子どもたちはどうなったのか・・・。幸せなキラキラした草原を駆ける少年たちが切ない

美しいざんすね・・・。
そして何と言ってもこの映画は坂本龍一教授の遺作でもあり、終盤に流れるAquaはまるでこの映画のために書かれたようにピッタリと合っていて、グッと来ました。弾きたくなりましたわ・・・。